特集 XI
仏壇を考える

    BSN ラジオ 『ニイガタ元気宣言』 (2015年2月放送) の聴き書きです。
   事前の打ち合わせもないままのぶっつけ本番。
   「白根仏壇」の宣伝をすればいいんだろうと臨んだら、
   かなりつっこんだ内容にまで話が及んだようです。

   真宗門徒限定ではなく
   老若仏教徒全般にわかるように話をするのに苦労したとおっしゃていました。


          トーク : 江口  歩 さん
          トーク : 周佐則雄 さん
          ゲスト : 笠井  武 さん(笠井仏壇工芸)
 
【江口】こんにちわ、第2代新潟県元気大使の 江口 歩です。
【周佐】こんにちわ、脳性まひブラザーズの周佐です。今日のゲストは白根仏壇伝統工芸士の 笠井 武さんです。よろしくお願いします。
【江口】仏壇作って何年でしょうか。
◎そうですね、20歳から始めまして今68歳ですから48年ですね。
【江口】仏壇というと工程がたくさんあると思うんですが、笠井さんはどういうところを担当なんですか。

           

    木 地         彫 り         金 具
【笠井】白根仏壇は5工程の職人さんが協力してひとつの仏壇が出来るんです。まず材木を切り刻んで加工してお仏壇の形にする木地師さん。それが出来ると彫刻師に彫刻の材料を渡すんですよ。
【江口】中身のいろんなものを手で彫っているわけですね。
【笠井】そうですね。そしてその木地の寸法を取って金具を作る金具師さんですね。それから私のように漆を塗ったり、金箔を押して組み立てる塗師なんですが、その中間に漆を塗った上に蒔絵を書く蒔絵師さんがいます。その5人の職人が協力してひとつの仏壇ができます。
【江口】じゃあ、笠井さんとこは最後のほうの工程?
【笠井】そうです、私どものところで完全に仕上がり、お客様のところにお届けできる工程です。
【江口】組み立てもやっている?
【笠井】もちろんです。漆を塗って金箔を押して、金具を打って、彫刻をはめ、最後に集めて仕上げてお客様のところにお届けするところまでの仕事ですね。
【江口】周佐さんは今ひとり暮らしなんですけども、「仏壇ないの?」っていったら、「まだ死んでないから」って。
【周佐】死んでなければいらないじゃないですか。

 笠 井 さん
【笠井】実をいいますとね、現代の考え方で、お仏壇はその家の方が亡くなるまでいらないという考え方がだいぶ出ておりますが、ひと昔前までは、たとえば分家に出れば必ずどんなに小さなお仏壇でも、本尊さまをちゃんと安置してお参りするいうのが日本の仏教文化の伝統でした。
【江口】まわりを見渡しても、新築してる人のお家へ行っても、仏壇がある家は見たことないですよね。

【笠井】そうですね、私も新築のお客さまにお仏壇を納めますけど、お仏壇をどこに設置しましょうかというご家庭も多々ありますけど、新潟県ではちゃんと仏間を確保されているお客さまが多いですね。それは昔のように6尺間とか5尺間とか大きいものではなくて、3尺間くらいの仏間をつくっている方がまだまだ多いと思います。
【江口】根本的な話なんですけど、そもそも仏壇って、あれは何なの?
【笠井】いろんな宗派の違いはあるでしょうけど、お仏壇は、ご本尊さまには手を合わせてお参りをする。そしてご先祖さまにも感謝の気持ちをこめてお参りをする。私は原点は「感謝」であると思います。
【周佐】いま聞いていたイメージだと、神社とかお寺みたいな、それでいいんですか。
【笠井】そうなんです。
【江口】じゃあ、神棚が神社だとしてら、仏壇は寺だと。つまり我々はお盆になるとお寺さんに行くけれども、日常の家の中に模擬寺を置いて先祖さんを忘れないためのひとつのシステムというか道具みたいな…
【笠井】そうですね、ご先祖さまのご供養と、さっき言いましたように各宗派のご本尊さまが安置してあって、そのご本尊さまに対して感謝の気持ちを捧げ手を合わせる…。

          

   蒔 絵         塗 り        金 箔

【江口】冷静に考えてみると、いま洋間だとか、新築で仏壇を置いてないとかとなると、お墓があるお寺もかなり距離があると、常に自分がどこからやってきて、どういうご先祖さまがいてとか、感謝の気持ちをささげる場所というか、祈る場所がないということだよね。
【笠井】そのとおりですよね。私は仕事柄確かに仏壇の塗師として、今までたぶん何千本も作らせてもらってきたと思いますけど、作らせていただいたお仏壇が、各ご家庭でご本尊さまやご先祖さまの供養のためにお参りされているってのを、最近ようやく自分の仕事の厳しさというか難しさというのがわかってきましたね。
【江口】いまどっちかというと、お寺行ってさ、願い事するじゃない。感謝の前にアレコレお願いいたします。
【周佐】僕なんてお願いしかしないです。

【江口】そうじゃないんだよね今の話を聞いてると。どんな生きざまがあるそんなことを思いをめぐらしながらも、お願いするんじゃなくて、我々いまふっと生まれてきたんじゃなくて、ずっと綿々たる生命の営みのつながりできてるわけじゃない。その有り難さというか、いまオレここにいて有り難うでいいということですよね、要はね。
【笠井】その通りなんです。
【江口】最後に「ニイガタ元気宣言」というのを一言お願いします。
【笠井】私ども白根仏壇は300年の伝統に培われています。是非この平成の時代を乗り切ってこの伝統を後世に伝えていきたいなと思っております。よろしくお願いします。
        (文責 住職) 

   写真は笠井仏壇HPより


 笠井仏壇工芸 新潟県新潟市南区能登2-9-38(国道通り)
             http://www.kasaibutsudan.jp/