伝道掲示集

                                     【伝道掲示06】
工事中 !

【2006年】


カブト虫クンは
だれにでも 好かれるけど
どうして ぼくは
ダニに 生まれついてきたんだろう?


『親指を隠さずに』
             作詞 槙原敬之

長いクラクションは
世界中に向けた最後のお別れを言うように街に響く
もう二度と
一緒には戻れない街の通りを
荼毘所に向かう車から見ていたら

通りに出てきた小さな子供達が
母親の前に並んで
いつまでも手を合わせていたんだ

どんな人生だったと
神様に尋ねられた時
彼らの姿を思い出して
亡き人も微笑むのだろう
だから僕はあの日から
黒い車を見つけても
親指を隠さず
手を合わせようと決めたんだ

親の死に目に会えないとか
不安な迷信を まだ幼い子供に
教えたりするその前に
もっと教えておくべき
大事なことがある
たとえば
誰の命も限りがあることとか

何にも持っていくことはできない
自分の体さえも置いて
心だけで旅に出たのは
誰にとっても
本当は大事な人なんだ

誰かの命が終わったと
知ったと少し心が傾くようで
名も知らぬ誰かにも
自分が支えられて生きていると知る

だからありがとうの気持ちと
つぎの旅先の無事を祈って
親指を隠さずに
手を合わせて見送りたい

そのあとゆっくり目を開けると
なぜか
さっきより世界が暖かく
愛おしく見えるんだ